まっとうに生きていると、人をだましたり、だまされることはない。
そう思っていたが。
昔の話。
クライアントの石野さんは、建築会社経営。
家を建てるには、たくさんの会社、人が絡む。
石野さんは、とてもいい人で、協力会社との関係も良好。ホームページも好評。
そこに、ホームページを見て、東京からAさんがやってきた。
Aさんは、実業家で、建築家で、アイデアマンで、劇作家で、つまり、よくわからない人。いっしょに、エコ建築に関する事業を立ち上げよう、ということだった。
アイデアと、瞬発力と、機動力に富む、Aさん。国や、県の補助金を取り付けて、ある事業を始めた。数千万単位のプロジェクトだ。
僕も誘われたが、僕の本業じゃないし、やんわり断った。
事業が始まって、こまごまとした作業が山積みの中、Aさんは、突如いなくなった。
石野さんは「事業主から訴訟を起こされて、大変だよー」と、やや疲れ顔。
正直、僕は、その事業に参加しなくて良かった、と思った。まじで。
その後の話では、Aさんは今回に限らず、あちこちで訴訟騒ぎを起こしているらしい。
アイデアと機動力にすぐれてはいるが、最後までやり遂げることは無い人。そういうタイプの人だったんだと思う。
巻き込まれた人は、たまったもんじゃないが。
Aさんにとっては、アイデアをもとに、スタートアップすることが、すべて。
そこに醍醐味を感じるんだろう。人をだますつもりなんて、おそらく、毛頭無い。
でも結局は、だましたんだし、石野さんは、だまされたんだよな。
ある意味、Aさんは、僕のビジネス上の先生だ。反面だけど。
今週のお題「思い出の先生」