郵便局で振込をしなきゃならない。あいにく土地勘のない場所だ。
車で走る途中、たまたま目についた郵便局に入る。
入り口でちょっと、ためらう。すごく小さい簡易郵便局だったから。
田舎の簡易郵便局にはATMが無いところが多い。
そこも、やっぱりATMは無かった。
入り口を開けると、ひとりだけ女性の事務員さんが。
「カードでお金、下ろせませんよね?」と聞くと、良美ちゃんは「大丈夫ですよ!」という。とても心地よい声で。
彼女が良美ちゃんかどうかは分からない。でも壁の「銀行業務担当者名」には"良美"と書いてあるから、多分、良美ちゃんだ。
笑顔が素敵だ。ATMは無いけれど、ここでお願いしよう。
良美ちゃんの指示通り、紙に名前を書いて、カードと一緒に出す。お金を下ろすのに、こんなやり方があるんだ。
紙に、口座名義とか口座番号とかを書いて、良美ちゃんに手渡す。
カードの名義と、僕の書いた名義が違いますよ、って新しい紙に書き直し。
カードの名義の通りカタカナで書いたら、漢字で書いてください、って書き直し。
ああ、なんか、楽しいなあ。
美人の先生に怒られているみたいで。
良美ちゃんは、おそらく制服なんだろうけど、黒いタイトスカートだ。
処理してくれている間、カウンター越しに僕は、タイトスカートのおしりを眺めている。
きっと、防犯カメラに僕のマヌケづらが映っているけれど、まあいいよ。マヌケだし。