隆は、良子を抱きしめていた左手の力を抜いて、パジャマ越しに良子の陰部に触れた。パジャマの下のショーツのフチを確かめるように、指を往復させる。フチを何往復もしたあと、ショーツの中央に指を這わせる。指先に神経を集中すれば、パジャマとショーツの2枚越しにでも、クリの小さな突起を見つけることができる。その間、良子は何も言わないし、足を拡げることもないが、かといって、太ももを固く締めることもない。
隆はこうして背後から良子を抱きしめながら、良子に触れることが好きだった。そろそろ閉経を迎えようとしている良子と隆にとって、セックスはもはや子作りではない。隆にとっては、数少ない夫婦の触れ合いの時間だ。挿入や射精は目的ではない。いや、挿入はするものの、それは今日の行為の記念碑的な役割だ。強く挿れたい、激しく挿れたい、奥まで挿れたいとは思わない。
ずっとこうして抱いたまま、良子の秘部に触れていたいと隆は思ったが、そうもいかない。もうすぐ子どもたちも起きてくるだろう。隆は左手を良子のパジャマの中に滑り込ませた。今日のショーツは、肌触りのいいサテン生地だ。年末に隆が良子に買ってあげたものだ。
何年前だったか、隆はネットで、良子に穿いてほしいショーツを買った。恐る恐るそのショーツを良子に差し出したところ、良子は「かわいいね」と言って穿いてくれた。女性物の下着を買ったことへの良子の反応が怖かったが、騒ぐことも驚くこともなく、受け入れてくれた。隆はほっとした。それ以来、隆は良子にショーツを買い続け、そのたびに良子は「いいね」「かわいいね」と言って穿いてくれた。