学生時代、レンタルビデオ店でバイトをしてた。
常連のお客さんに、オールバックのおじちゃんがいた。松本さん。
恰幅がよく、派手なアロハ風シャツが、似合っていた。
松本さんは、毎日、ビデオを借りに来ていた。アメ車マスタングに乗って。
新作、旧作、かたっぱしから見ていた。
どこかの会社社長、ということだった。
が、あるときから、姿を見せなくなった。
半年ほどたったか。久しぶりにやってきた。
「いやー、会社が倒産しちゃって。今は、タクシーの運転手だよ」
車はアメ車じゃなく、黄色いタクシー。
服は、運転手さんの白のワイシャツ、ネクタイ。
でも、落ち込んだ様子でもなく、悲観した様子でもなく。
大学生だった僕は、まあ人生、色いろあるんだな、でもなんとかなるんだな、と、変に関心したものだった。
今週のお題特別編「はてなブログ フォトコンテスト 2015夏」