お盆も終わり。
僕の住む地方では、お盆の始まりの時期に、提灯(ちょうちん)をもってお墓に行き、ご先祖様の霊をその提灯に乗せて家に連れて帰る。「お帰り~」とか言って。
お盆の期間は、ご先祖たちが家にいる。ご先祖はたくさんいるから、家じゅう、霊だらけだ。
そして、お盆が終わるころに、また提灯に乗ってもらい、それを下げてお墓に行く。そして、お墓で霊たちに降りてもらう。また来年!とか言って。
お墓に行くときには、玄関の前で小さな火をたく。そしてお墓でも。ひとつひとつ、細かい決まりがあるみたい。
すべては、義父が仕切っているので僕は、おおよそ見ているだけだ。
もしかすると、いや、きっと、この風習は、僕の代で途絶えるな。途絶えてしまうな。いいのか、これで?
しかし、かくゆう義父も以前はお盆の時期には生ものを一切食べなかったが、今年は刺身を食べてた。「時代が変わったからなあ」って。
うん、刺身は食べていいことにして、提灯のご先祖タクシーは、僕が引き継ごう。