僕が起業してすぐの頃、10年以上も昔の話。
ミネラルウオーターを製造販売しているという会社に呼ばれて行った。
かなりの山奥で、道に迷いつつ。
対応してくれた社員さんは、ちょっと、なんというか、チャライ感じ。
「あー、この会社は、僕には合わないなあ。断るべきかなあ」なんて思い始めたとき、社長と思われる、オッチャンがそばを通った。
とっさに僕は立ち上がり、名刺を差し出した。
後で考えると、そんなことする必要もなかったはずだけど、起業したてで、周りが良く見えていなかったんだと思う。気負い、あせりもあったかも。
オッチャン社長、僕の名刺をいちべつして、
「ふん、10年早いわ」
その場で名刺を投げ捨てることこそ、しなかったが、きっと、5分後には捨てただろう。
昔の話だけど、いまだに、心の隅っこに、ひっかかってる。
オッチャン社長に見下されたこと、それより、あまりやりたくない相手だと気づいていたのに、社長が通るや否や、自分を売り込もうと立ち上がって名刺を渡したりした、自分の卑屈な行動が恥ずかしく、忘れられないんだと思う、
今は、そんなことは、しない。
誰にでも丁寧に、でも、卑屈にはならない。
そうしてる。