まだ会社勤めをしていたころ。
陽気で、頭が切れて、懐の深い、先輩がいた。
話題が豊富で、いつも笑いの中心。
飲み会で、すぐお尻を出しちゃう人。
僕の知らない、いろんなことを知ってた。
その先輩と、あるプロジェクトで、コンビを組んだ。
しばらくの間、打ち合わせも、社外会議も、出張も、一緒。
わかったこと。
先輩の周辺で、楽しい出来事が、たくさん起こるわけでは、ない。
でも。
起こる出来事、その中の、楽しい面、ステキな面に、先輩は気づいてた。
僕も、その場にいたのに、そんなに楽しいと思えなかった出来事。
それも、先輩は、楽しんでた。
接待された席で飲みすぎて、翌朝の会議、フラフラで出席したときも。
だから、先輩が話すと、
あんな出来事も、こんなに楽しい出来事に思えるんだ。
気持ちの持ちようなんだなあ
先輩の口ぐせ。
大丈夫、大丈夫。
大丈夫だって。
こんなの屁でもないよ。
プロジェクトが終わって。
俺、有休たまってるから、ちょっと休んで、
アラブ首長国連邦に行ってくるわ。
実際の経験も豊富なんだな。
先輩は、それからしばらくして、夢をかなえるため、退職。
先輩と、プロジェクトの方向性を話し合って、書き散らかしたプロット図。
いまでも、大切に持ってる。