近所の3階建ての豪邸には、独身医師が住んでいる。
豪邸には、高い壁があり、外から中は、うかがえない。
しかし、その隣に住んでいる、カジさんとは、町内会仲間。
カジさんは、聞いてもいない情報を、教えてくれる。
カジさん、
「うちの、2階のトイレの窓から、豪邸の庭が見えちゃうんだよね。見る気はないんだけど、見えちゃうの。こないだ、庭で美女達と、バーベキューしてたよ。すごい笑顔で。私たちと道で会っても、ニコリともしないのに」
「庭に、ヤシの木みたいなのが植えてあるの。でも、この辺の気候じゃ、育たないから、すぐに枯れちゃうの。でも、枯れるたびに、新しい木を運んできて植えるのよ。よっぽど、ヤシの木が好きなのね」
豪邸の北隣には、売地があるんだけど、もう何年も売れていない。
3階建ての影で、日当たりが悪いから。
地主はあきらめ顔。
独身医師さん、隣も買ってあげれば? 余計なことだけど。