Google Mapで道順を調べたりしていると、つい、関係のない場所の地図まで見てしまう。
僕が子供のころ住んでいた、関西の地。
田舎だったけど、今じゃずいぶん発展している。
変わったところもあれば、変わっていないところもある。
ふと目にした、なんだか聞き覚えのある病院。
町から少し離れた、林に囲まれたような、なんだか寂しい場所に立つ病院。
ああ、あれだ。精神病院だ。
僕はここに、子どものころ、何度か行ったことがある。
父親が入院していた。
正しい知識があれば、そこが、依存症や深い悩みを抱えた人の社会復帰を助ける施設であることくらい、分かる。
でも子供には、当時の僕には、そこは、狂人が閉じ込められるところ、狂った人が行くところ、そんな風にしか思えなかった。
そこに父親が入院しているなんて、恥だった。
友達にも、誰にも決して言わなかった。
父親が、そこにどれくらいの間、入院していたか、全然覚えていない。
母とそこへ何度か行ったが、僕は駐車場で待っていた。
病院の中には入らなかった。
病院はフェンスで囲まれ、そこに通じる道は、木が茂っていて薄暗かった。
舗装されていない、砂利道だった。
GoogleMapのストリートビューを見てみた。
今もやっぱり木が茂る、砂利道だった。