誰かと会っていて、さよならして、帰ろうとしたけれど、やっぱりもう一度、顔を見てから帰ろうか、と思ったことありますか?
3年前か。
母が体調を壊して入院した、危ないかも、という知らせを受けて、急遽、帰省した。
病床の母は、思ったより元気そうで、明日には集中治療室から出られる、と聞いてちょっと安心した。
一日付き添って、僕は帰ることに。
夜、最終の飛行機に間に合うように病室を出た。
「じゃあまた、夏休みに家族で会いに来るから」そう言って、病室を後にした。
廊下を進み、エレベーターで1Fに。
暗くなったロビーから玄関を出て、ふと振り返って、高層の病院を見上げる。
・・あれ?本当に、夏にまた会えるかな?もう会えないかも。
なんだかそんな気がして、もう一度いま来た道を逆戻りして、病室のドアを開けてみようか、「また来たよ」と。
いや、また会えるよ。
そう思い直して、駅に向かった。
もう会えなかった。
今週のお題「おかあさん」