玲子ちゃん。
大学時代にバイトをしていたレンタルビデオ店の、常連のお客。
いや、正確には、常連のお客だったご夫婦の娘さん。
たしか、短大生だった。
常連夫婦とは顔なじみで、その流れで、玲子ちゃんとも仲良くなった。
たまにご飯を食べに行くようになった。
僕の狭いアパートに遊びに来るようになった。
そして寝た。
寝たものの、キスしようとすると、「ダメ」。
クンニしようとすると、「そこはダメ」。
挿入はOKなのに、キスやクンニはだめなの、不思議だな。
そして、コトが終わった後、
「あなたとセックスするのが夢だったの」
玲子ちゃんは、確かにそう言った。
「夢だったの」
いや、夢っていうのは、もっと大きくて、手が届かないことを言うんだよ。
映画スターとセックスするのが夢、っていうのならともかく。
僕と寝ることなんて、そんなのは夢じゃないよ、まったく。そう思った。
そう思ったことを覚えている。
玲子ちゃんとは3回、寝た。
「今度は、ホテルに行こうよ♡」
そう言った玲子ちゃんと、結局、ホテルに行くことは無かった。
玲子ちゃんは仮名だ。本名が何だったか、まったく思い出せない。