音楽の著作権を管理するJASRACが、音楽教室の演奏にも著作権使用料の徴収を始める方針を示した、っていうニュースがあったけど、それをベースにした物語。
全日本音楽著作権連盟で働く橘樹は、上司に命じられて音楽教室への潜入捜査を行うことになる。
潜入捜査、って言っても、子どもの頃にチェロを習っていた橘が、大手音楽教室ミカサに入会して普通に授業を受けるだけ。違うのは、授業の音を隠しマイクで録音する、っていうこと。それが裁判上の証拠になるから。
ハンガリー帰りのちょっと気難しそうなチェロの先生、同じくチェロを習っている個性的な生徒たち、派閥力学に目を光らせる上司、なぜかマメに話しかけてくる社内随一の美女。
そしていよいよ裁判を前にして、橘はミカサを退会して証言台に立つことに・・なるのか。
自分で粉々に打ち砕いた信頼関係は、もう一度築き直せるのか。
静かにハラハラドキドキして、ちょいと泣いちゃう、いい物語でした。